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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第7章 紫陽花の面影


ほら、あさひ。
仕事、遅れるわよ! お弁当は?

持ったよ、遅れるから行くね!

はいはい、いってらっしゃい。




また咲いたんだね、紫陽花。
お母さん、紫陽花好きだね。

そうねぇ、この可憐な感じが好きなんだよね。

じゃあ、母の日はカーネーションじゃなく紫陽花にする?



ふっと、あさひは目が覚めた。
視線の先は天守の天井。
昨晩も隣で眠る信長に愛された場所。

頬には涙が伝っていた。

『目が覚めたのか?』

「あ、はい。大丈夫です。」

『泣いているのか?』

「…懐かしい夢を見ました。」

『夢?』

「…母の、夢でした。」

『…そうか。 会いたいか。』

「えっ。…会いたくないと言えば嘘になります。
でも、私は信長様と…」

添い遂げるためにここに来たから、と言おうとした矢先、信長はあさひの口を塞いだ。

『俺は、貴様しか要らぬ。返すことはできぬ。』

「はい。わかっています。」

『母の分まで愛し幸せにすると誓う。』

「はい。」

『眠れ。抱き締めていてやる。』

「はい。」

目を瞑るあさひの目尻から、また一筋涙が頬をつたうのを信長は確認し、あさひの頬に口付けをした。



あさひ、今日は雨みたいよ!
朝のニュースでやってたわ!
ちゃんと傘もった?

…お母さん?

? なに? どうしたの?

お母さん!私、私、帰ってきたの?

帰ってきた? 何言ってるのよ?
昨日も今朝も普通に一緒にいたでしょ?
なに? 疲れてるの?風邪?

じゃあ、夢だったの?
だって私、信長様と…!

信長?…、夢でも見たんじゃない?
早く帰ってきて休みなさい。
ほら、時間無いわよ!

あ、うん。いってきます…
って、わぁ、すごい雨!

だから言ったじゃない!
ほら、傘!
…なんだかわらかないけど、疲れてるのよ。
気をつけて。晩御飯作って待ってるから。



待ってるから。











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