第5章 おんなのこのひ
次に会ったのは… 政宗だった。
『おはよう、あさひ。』
「あ、おはよう。」
『どうした?』
「え?」
『元気ないな。なんかあったか?』
「あ、うん。少し頭が痛くて。」
『大丈夫か? 信長様は知ってるのか?
休んでろよ。部屋に連れていってやろうか?』
「大丈夫、大丈夫。軍議が終わったら、部屋で休むって女中さんにお願いしてたし、今日はおとなしくしてる。あとで、信長様に伝えるよ。」
ふふっ、と笑う私を政宗は優しく頭を撫でた。
『無理するなよ。』
そうして私は、軽く背中を支えてくれる政宗と一緒に広間へ向かった。
※※※※※
いつもの座り方で軍議に参加する。
信長様の正室のお話を頂いてからも、軍議は末席にしてほしいとお願いしていて、襖の近くの席で話を聞く。
いつもなら心地のいい風が、今日は寒気がするほどで、あぁ、やっぱり今回のはきついと確信を持つほどだった。
鳥肌がたって手先が冷える。
それなのに、こめかみには脂汗。
頭も変わらず痛い。
下腹部も鈍い痛みが襲う。
軍議も頭に入らなくて。
目を瞑ってただ時間が過ぎるのを待つしかなかった。
『…!』
『…!』
『あさひ!おい、大丈夫か?』
私を呼ぶ声に、はっと目を開けると、真正面には家康がいて、私の両隣には秀吉さんと政宗。
『どうしたの? 具合い悪いんじゃない?』
『そういえば、頭が痛いって言ってたよな。
まだ辛いのか?』
『政宗!なんでそれを早く言わない! あさひ、無理するな。部屋で休もう。』
『頭痛いだけ? 手も冷たいし、冷や汗かいてる。』
三人が色々心配して、話しかけてくれるんだけど、ぼうっとしてあんまり聞こえなくて。
そうしたら、がしっと抱えられた。
「え?」
『御館様!』
『軍議は中断だ。家康、あさひを部屋に連れていく。診察しろ。』
『はっ。』
私を横抱きにして、信長様は部屋に向かう。
先回りして秀吉さんが、私の部屋へ向かう。
「大丈夫ですから…、一人で部屋に戻ります。
軍議続けてください。」
『はぁー。』
深くため息をつく家康。
ちらっと私を見て、すぐに表情を険しくする信長様。
私は、体調悪いって言わなかったから怒ってるんだ、とすぐわかった。