第2章 戦場の向日葵 ー前編ー
政宗は青、家康は黄色。
二人の左手に腕輪が朝陽に照らされて輝いている。
『可愛いことしやがって。』
政宗は、ミサンガに口付ける。
『邪魔だけど…仕方ないな。』
家康は、そっと右手でミサンガを撫でた。
「気をつけてね。私も、私らしく待ってるから。」
『おう、行ってくる!』
『行ってくるね。』
二人は、優しくあさひの頭を撫でると、軍の先頭に進んでいった。
あさひは秀吉と三成に挟まれて隊を見送る。
信長の号令が始まる。
『皆、この戦、命を散らすことは許さぬ。必ずや安土に戻れ。』
『はっ。』
『あさひ。』
「え?」
あさひは信長に差し出された手を握る。
『必ずや安土に戻り、俺とあさひの祝言に参加せよ。』
瞬く間に歓声があがり、士気が高まっていくのがわかる。
信長は、あさひの手に口付けし、にやりと笑った。
『秀吉、城とあさひを頼む。』
『御意。いってらっしゃいませ。』
「お気をつけて。」
『あぁ、すぐ戻る。』
そう言うと、信長を先頭に進み始めた。
あさひは、最後の一人が見えなくなるまで、見送った。