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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第2章 戦場の向日葵 ー前編ー


「あ、信長様。ちょっとだけ待っててください。」

『あ、あぁ。すぐ戻れ。』

あさひは、小走りで自室に向かった。
ミサンガを裁縫箱から出し、広間へ戻った。

広間につくと、信長はすでに甲冑に身を包んでいた。
側には秀吉が静かに見守っている。
体に緊張が走り、甲冑姿の信長を見つめてしまう。

(やっぱり行くんだよね。)

手に持つミサンガをぎゅっと握る。

『見惚れたか?』

「あっ、あ、いえ…」

あさひは顔を赤らめる。

『こちらへ来い。』

あさひは信長の側に進む。

「信長様。」

『なんだ?』

「この小袖を、私の代わりに連れていってください。」

『これは、揃いの小袖か。』

戦国の世に来て一年の記念に仕立てた信長とお揃いの小袖。

「はい。離れていても信長様を暖められるように。これを着ている間は、私が信長の心を守ります。
私も帰城されるまで、同じ小袖を着て眠りますから。」

秀吉は、二人から視線を離し、少し側から離れて見守っている。

「あと、信長様。左手を出してください。」

『左手?』

「はい。」

自分に向けて伸ばす左手に、赤のミサンガを付ける。

『これは…』

「御守りです。怪我しませんように、よく眠れるように。早く帰って来れるように。願って作りました。
心臓のある左側に付けましたから、必ず信長様を守ります。
私も、私らしく待ってますから。

気をつけて、御武運を。」

『あぁ、お前というやつは。』

信長は、あさひを引き寄せると口付けをし抱き締めた。

『すぐ帰る。』

「はい。待っています。」

信長は、そっと体を離すと優しく微笑み、兵の待つ城門へ向かった。
その姿は覇気があり颯爽としていて、かっこいい。

あさひは、その背中に見惚れていた。

 

「家康、政宗!」

あさひの声が、出陣準備をする二人に届く。

『ちゃんと、見送りに来てくれたんだな。』

『起きれたんだ。』

「もぉ、起きたよ。大事な日なんだから!
ねぇ、二人とも左手出して。」

『は?』

『なんで?』

そう言いながら、二人もあさひに向けて左手を伸ばす。

「御守りの腕輪。心臓のある左側に付けるよ。怪我しませんように、早く帰って来れるように願って作ったから。この腕輪連れていってください。」






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