第15章 They are police.
想定外だった。有り得ない。
ベ「接触者が、そんなに居ただなんて・・・。」
壁に拳を叩きつけると、ダァンッ!と音が鳴る。それでも、部屋に戻った少女は部屋から顔を出すことはない。
自分の知らない間に、どれだけの人間と接触をしていた?何故自分は知らない?どうして、なぜ。
疑問だけが頭をめぐる。教育係を任されたのは、私だったはずだ。その権利を、確かに私は獲得したはずだった。なのに、どうして。どうして知らないことがある!?
ベ「なぜ、あの子は言わなかった?」
記憶を消してしまうから、言う必要がないと思われた?
思い返せば、キールの記憶抹消も、いつの間にか行われていた。私が知らない間に、あの方とやり取りをしている?
考えれば考えるほど、あの子が分からなくなる。
自分にだけ懐いていた、表情の乏しい少女。それが、それらがもし仮に、全てが演技だったのなら?
ベ「演技だったら・・・?」
ゾッとした。背筋が凍る。
もしそうだとすればあの子は何年、何時間、どれだけの時間を演技している?私にも、それを悟られることなく、演技をし続けるだなんて有り得ない。自分は腐っても大女優だった。演技くらい、見抜けるはずだ。
落ち着け、思考回路を正常に戻さなければ。
ノックの対象者が予想以上に多いだけだ。何も恐れることなどないし、困ることもない。虱潰しに潰すことも、情報を入手するよう手筈を整えてもらうことも可能だ。焦ることはない。
ベ「・・・えぇ、そうだわ。焦る必要なんて、何一つない。」
だというのに、どうしてだろう。
この、焦燥感は一体、なんだというのだろう。