第14章 Purple Nail
快斗「あっぶねぇぇえ。助かったぜ、澪。」
楓「余裕ぶってるから。」
バイクに乗って快斗の家へ帰ってくると快斗はムッと拗ねた表情でこちらに顔を近づけてくる。
快斗「澪は気付いてたろ?名探偵がタネ解いてたの。」
楓「?うん。快斗も気付いていると思ったわ。」
快斗「声だけじゃ解いてるだなんて思わなかったぞ?」
楓「言ったよ。コナンくんより先に解けたら、歩美ちゃん達に自慢しようと思ってって。」
快斗「それが・・・ゲ。その時にはもう名探偵分かってたのかよ。」
楓「残念ながら。」
あちゃー、と顔に手を当ててあからさまにショックを受けている快斗。
楓「・・・ちゃんと言葉にすればよかったね。ごめんね。」
快斗「いや、変に探り入れて澪が怪しまれるくらいなら全然良い。つーか、黒髪なのか?」
楓「ううん。地毛は金髪。学校行くのに、これじゃ目立つかなって。」
そう言いながら髪をつまむと快斗も私の髪を触る。
快斗「まぁ、目立つだろうなぁ。」
楓「でしょう?」
快斗「おぅ。こんな綺麗に手入れされてる地毛の金髪、日本人は手に入れれねぇからな。羨ましがるだろ、小学生じゃ。」
快斗の言葉に、思わず動きを止めてしまった。
快斗「ま、そもそも澪は顔も良いから尚の事、良い意味で目立ってただろうけど。・・・澪?」
楓「え、あ、なに、」
快斗「・・・へぇぇえ~~~。なぁるほどぉ?」
楓「な、なに。」
しどろもどろになりながら聞けば、快斗はニッコリと笑って頭を撫でてくる。
快斗「照れてる顔は初めて見た。」
楓「だって、そんなに褒められるなんて思わなくて。・・・日本人は、皆一緒じゃないとダメって聞いてたから、そう言ってもらえると思わなかったの。」
快斗「まぁ、そういう奴の方が多いのは認めるけど、俺もそれに混ざるわけないだろ?天下の怪盗キッド様だぞ?」
冗談まじりにそう告げる快斗に、なんだかおかしくなってクスクスと笑ってしまう。
楓「えぇ、そうね。かっこいい怪盗さんだった。」
快斗「お嬢さんにお褒め頂き光栄で御座います。」