第14章 Purple Nail
予告時間になる。
網の中ではキャーーー!と黄色い歓声が響き渡る。
蘭「あ、来たみたいね!」
楓「うん、そうみたい。」
耳に付けている通信機からも黄色い歓声が聞こえる。凄い歓声だなぁ、と思いながら交差点の方を見る。
蘭「今日はどこに瞬間移動するのかなぁ?」
楓「・・・あれ?蘭さん、コナンくんが居ない。」
蘭「えぇっ!?もー、またいなくなっちゃったの!?私探してくるね!ここで待っててくれる?」
楓「うん、分かった。」
キッドが姿を見せる直前、スッと居なくなったコナンくんのことを告げれば、蘭さんは予想通り人混みの中探しに入っていった。
園子「あ!キッド様消えたわ!」
そう言って騒いでいる園子さん。今しかないと思い、笑い声が聞こえてくる通信機に声をかける。
楓「止まった方がいい。」
「・・・え?」
楓「彼がいないの。」
「ゼロ。」
通信機越しに聞こえた、少年の声。通信を切り、上を見上げれば、不自然に光らない文字ニュース。
楓「・・・遅かったかな。」
キッドは文字ニュースの上に立ったまま、寺井さんを拾い上げて網を越えて行ってしまった。
やっぱり、網を破壊する術を用意しておけばよかった。随分スレスレで飛んで行ったし。
園子「あぁー!やっぱりキッド様イケメンだわーーー!!」
小五郎「まぁた逃げられたか。」
楓「蘭さん、戻ってこないね。」
園子「え?そういやそうね。ガキンチョはあそこのビル
屋上だって伝えれば戻ってくるかしら。」
園子さんが蘭さんに電話をしている。
小五郎「んじゃ、あいつら回収して帰るか。」
園子「そうしましょ。ちびっこ、アンタ家まで送ってあげるから家の場所教えなさい。」
楓「ううん、大丈夫!もうすぐ迎えに来てくれるから!」
園子「そうなの?じゃあ気を付けて帰りなさいよ?」
楓「うん、ありがとう園子さん。小五郎さん、またね。」
小五郎「おぅ!次も万馬券当ててくれよ!」
園子「もうおじさまったら。」
パタパタと路地裏へ入っていく。すると、目の前でバイクが止まった。
「お迎えに上がりましたよ?お嬢様。」
ニコリと笑って、そのバイクに乗せてもらい、夜の暗闇に消えていった。