第14章 Purple Nail
小五郎「おぅ!久々だな、俺の勝利の女神!!」
蘭「だーからー!楓ちゃんはお父さんのじゃないって言ってるでしょ!!」
俺の隣にいる楓を見るなり目を輝かせるおっちゃん。その視線に気づいたからか、楓は俺の後ろにサッと隠れてしまった。
園子「なに?どういうこと?」
蘭「前、楓ちゃんが万馬券当ててからずっとこうなの・・・。」
園子「へぇーやるじゃない。にしても、勝利の女神様って・・・。」
ジーッと楓を見る園子にギュー、と背中の服を掴まれる力が強くなっていく。
コ「そ、園子姉ちゃん、ビックリしてるから、あんまり見ないであげて・・・。」
蘭「もう!園子もそんなに見ないの!楓ちゃんに穴が開いちゃうわ!」
園子「開くわけないでしょ!?」
そう言いながらも視線を逸らしてくれたことに安堵したのか、ホッと息を吐く音がする。
コ「わりぃ。驚かせて。」
楓「ううん、大丈夫。・・・ありがと、コナンくん。」
ひょっこりと顔を出して微笑む少女。
楓「それよりも・・・最初から誰も入れないみたいだね。」
コ「あの爺さん、なりふり構ってられねぇなー・・・。」
楓「ね、コナンくんならどうする?」
コ「どうするって?」
楓「コナンくんが怪盗キッドだったら、だよ。」
そう言われ、ふと考える。
コ「・・・奴のことだし、どうにかするんだろうけど、犯罪者の気持ちなんて分からねぇよ。」
楓「じゃあ、キッドがどう動くか分からない?」
首を傾げてそう聞かれる。
コ「・・・バーロー。分からなくても何とかするのが探偵なんだよ。」
楓「かっこいいこと言ってるー。」
ふふ、と笑う少女。
楓「それに、コナンくん楽しそう。」
コ「楽しそう?・・・。」
楓「うん。お気に入りの玩具を見つけたみたい。」
そう言って、違う?と聞いてくる楓に、言葉を返せなかった。
実際、そうなのかもしれない。
あいつを、怪盗キッドをこの手で捕まえるその時が、その表情がとても楽しみなのかもしれない。
コ「・・・そう、かもしれないな。」
楓「微妙な反応のコナンくん、珍しいね。」