第14章 Purple Nail
光彦「見ましたか?昨夜の怪盗キッド!」
歩美「観た観た!!テレビでやってたね!」
学校の帰り道、昨晩のキッドの話になった。
光彦「かっこよかったですねー!キッドの瞬間移動!」
歩美「うん!キッド、今夜もテレポートしに来るんだよね?歩美、今からドキドキだよー!ね、楓ちゃんはキッド知ってる?」
そう言って歩美は手を繋いでいる楓を見る。
楓「うん。昨日見たよ。凄かったね。」
歩美「だよね!」
元太「キッドってよ、ひょっとしたらエスパーなんじゃねぇの?」
コ「奴は超能力者なんかじゃねぇ!ただの手品を使う泥棒だよ!」
そう言えば、灰原がニヤリと笑いながら聞いてくる。
哀「あら、じゃあそのタネは分かったのかしら?」
コ「あ、いや・・・タネはまだ・・・。」
楓「でもあの距離なら頑張れば移動出来るかもしれないね。」
そうポツリと楓が呟いたのを、聞き逃さなかった。
コ「楓は分かるか?そのタネ。」
楓「んー、方法は分からないけれど、上空に上がるだけだし。手下にカードを飛ばしてもらって、その間にビルの屋上まで上がるとか。」
少女の推理も一理ある。少女の推理であれば、可能にみえるが・・・。
コ「いや、あのビルはテレビ局の人間しか入れないことになっていて、入り込むのは無理だ。」
楓「そっか。いい線いってると思ったのにな。」
肩を竦めて俺を見た後、隣にいた歩美に話しかける。
楓「歩美ちゃんは交差点行かないの?」
歩美「うん。夜遅いからダメって言われちゃった。楓ちゃんは行くの?」
楓「歩美ちゃん達が行くなら行こうかなって思っただけだから。・・・人多いの、あまり得意じゃないし。」
歩美「そっか。ごめんね、楓ちゃん。」
楓「ううん。謝ることないよ。」
そう話す二人を見ていると、灰原が隣へ来て小声で声をかけてくる。
哀「どうかしたの?あの子の推理が気になる?」
コ「・・・いや、あいつが行きたいって言い出したの、初めて聞いた気がして。」
哀「・・言われてみれば、そうかもしれないわね。貴方、今夜も行くんでしょう?誘ってみれば?」
コ「・・・。」