第14章 Purple Nail
快斗「んで?どうだった。」
楓「凄いね、快斗。電光掲示板の黒い部分に紛れて上に上がるだなんて思いつきもしなかったや。」
快斗「なーんでそれを再現VTRとかも何も見ないで一目で分かるかなぁ?」
まぁ、だから澪ってすごいんだけどな、と呟く。澪は首を傾げてこちらを見る。
楓「ごめんなさい?」
快斗「いや、いいよ。それで、覚えれたか?」
楓「うん。明日の対策は大体出来ると思う。」
快斗「ほぅ?」
丸暗記してほしいとしか言ってないにも関わらず、明日の対策をする為だと気付いてくれる澪はやっぱりすごい。
楓「早めに現場に行くことをオススメするわ。きっと明日は最初から網を張るでしょうし。」
快斗「ゲ。マジで?」
楓「次郎吉おじさん、かなり不機嫌だったもの。全部締め出すんじゃないかな。」
サラリとそう言ってはい、これ。とダミーを発射するのに使った部品を差し出してくる。
快斗「お、さんきゅ。」
楓「ねぇ快斗。網を破壊する術も用意出来るけれど、いる?」
少し首を傾げながら聞いてくる少女。相変わらず恐ろしいことをサラリと言ってのける。
快斗「いや、大丈夫だろ。それより澪、今日網から抜け出すの大変だったんじゃねぇのか?」
楓「そんな事ないよ?英語で話しかければすぐに出してもらえたし。」
快斗「おいおいおい。」
楓「こっちのことは気にしないで。それに明日はあの網の中に入るつもりないし。」
快斗「そうなのか?ならいいけど。」
楓「うん。明日は上から見ようかなって思って。」
ふんふん、と機嫌がよさそうな澪。
楓「あ、そうだ。ねぇ快斗。どうして私のいる場所が分かったの?」
快斗「え?」
楓「だって、私の真後ろってテレビ局が中継してたビルじゃなかったし。どうやって分かったのかなって。」
快斗「・・・俺の実力かな。」
楓「えー何それ。」
頭を撫でてやるが、むぅと頬を膨らます澪。ニヤリと笑ってやれば、ふいとそっぽを向かれてしまう。
こんなにも可愛らしいのに、見つけられないわけないだろ?