第14章 Purple Nail
交差点はかなり混みあっていた。明日は平日だというのに。
楓「・・・あ。」
獲物である紫の爪を展示している台のすぐそこに、見覚えのある少年がいた。こちらには見向きもせず、宝石を見つめている。
楓「・・・まぁ、そういうものよね。」
人混みに紛れ、そのまま下がる。ダミーが飛んでくるのが見え、周りからは歓声が響き渡る。
楓「さて、と。」
周りの観察を始める。交差点の四方の地面には恐らく仕掛け。そのまま視線をずらして壁を見れば、カーテンレールのようなものがある。と、なると。
楓「・・・この交差点から出さないためのトラップかぁ。」
ダミーが爆発し、気をとられている隙にキッドは台に飛び乗った。その瞬間、今見つめていた仕掛けが作動して周りを網で覆われる。
随分とまぁ、大きな仕掛けをしたものだ。
台を守る警備員は4人。明日も行うとなれば、多分人数は増える気がする。
キャーーー!と黄色い歓声。周りは大人ばかりなので当然、真ん中で行われているショーは全く見えない。けれど、ポンッと音がしたから恐らく姿を消したのだろう。
そう納得して周りを見渡そうとした時、ポンと頭を撫でられる。
楓「・・・?」
「覚えれそうか?」
楓「うん。・・・どうするの?」
今回の作戦については、何も関与していない。だから、どうやって逃げ出すとかも聞いていない。
「ま、予想通りだし問題ねぇよ。見てろって。」
楓「ん。頑張ってね。」
「おぅ。」
そう言えば、頭から手は離れて行ってしまった。
楓「・・・あれ?」
そう言えば、自分がどこに居るか快斗に伝えた覚えなんてないのに。・・・見えたのだろうか。この人混みで。
楓「・・・いやいやいや。まさか。」
首を振ってもう一度交差点を見つめる。
この姿で失敗するなんて有り得ないのだから。