第2章 Start Japanese Life
ちらり、と助手席に座る女を見る。
窓の外を見つめ、口元は緩んでいる。
「・・・。(随分と、穏やかな表情だな。)」
運転をしている男、バーボンは思案する。
先ほどの話に出てきたターゲットと何かあったのだろうか。ベルモット相手に断るということは男性ではないのだろうか、いや、男性の誰もが了承するとも限らないだろう。
思案しつつも、バーボンは運転を続けた。
そういえば、ジンが零していたコードネーム持ちも気になる。
フォーギヴン。
忌々しそうに呟かれたそれに、質問をしようとして銃を向けられたことは今に始まったことではない。機嫌が悪いとすぐに銃口を向けられる。
ウォッカの話を纏めると、数年前から組織に在籍している人物で、コードネームも実は随分と前から持っていたとのこと。
情報量は組織内で随一であり、何でも知っているとのこと。
その辺りでジンにストップをかけられたため、それ以上のことは分からなかった。
他の人間にそれとなく聞いてみたものの、フォーギヴンの素性はおろか、そんなコードネーム持ちの人間がいることすら知られていなかった。
一体、何故フォーギヴンの存在がないように扱われるのか。何故、一部の人間にしか知られていないのか。そもそも、それは隠されているのか。隠すつもりがあったのか。
ウォッカの発言を思い返す。
情報量は組織内で随一。
情報屋なのかもしれない。
素性はおろか、人物像すらわからない。知っているのは現段階でジンとウォッカのみ。
隣の人物に聞いてみるのも手かもしれない。
しかし、彼女は秘密主義だ。知っていても、知らないと告げるかもしれない。嘘をつく可能性だってある。
彼女に聞くのは最後の手段にするべきだろう。そう結論付けてどうやって調べようかと思案する。
夜はまだ始まったばかりだ。