第14章 Purple Nail
いつも通り学校を終え、真っ直ぐと部屋に帰れば電話が鳴った。
楓「もしもし?」
「澪か?今日暇だったりする?」
電話の相手は快斗だった。随分と焦っているような声で、不思議に思う。
楓「うん、真っ直ぐ帰ってきたし。どうかしたの?」
快斗「相談があるんだ。今から来れるか?」
楓「・・・うん、分かった。今から出るね。」
快斗「待ってる。」
そう言って電話を切る。
楓「・・・なんだろ。」
疑問に思いながらも部屋を出て江古田まで向かう。
呼び鈴を鳴らせばすぐに快斗が応答した。
快斗「開いてるから入ってきていいぞー。」
楓「・・・不用心。」
家に入ればバタバタと降りてくる快斗。
楓「どうかしたの?」
快斗「ちょっとな。部屋で話す。」
部屋に入るとすぐさま快斗は話を始める。
快斗「爺さんの動向を調べたら、銀座の交差点を貸し切るつもりらしいんだ。」
楓「・・・お金持ちは違うねぇ。」
まさか展示会場に道路を選ぶだなんて思いもしなかったな、と考えていると快斗は少し複雑そうな表情をしてこちらを見る。
快斗「策は練った。寺井ちゃんにも伝えてある。・・・ただ、その、澪の協力が欲しいんだ。」
楓「・・・?いつも通り手伝うよ?それとも、今回は私手伝わせるつもりなかった、とか?」
快斗「そうじゃなくて。ほら、いつも当日は家で待っててくれただろ?今回は、現場に来てくれねぇかな、と思って。」
楓「・・・。」
予想外の返答に思わずポカン、とする。
快斗「あ、いや、無理には頼むつもりはねぇよ!名探偵と知り合いみたいだし、嫌なら断ってくれて全然構わないし」
楓「あぁ、いや、違うの。嫌じゃないよ。むしろ喜んでやるわ。」
快斗「いいのか?」
楓「うん。ちょっと驚いただけ。・・・私が出来ることなら、勿論手伝うよ。」
そう言って笑えば、快斗はホッとしたように表情を緩めた。