第14章 Purple Nail
楓「そういや、次郎吉おじさんまた海外から取り寄せしてたよ。」
夕食時、サラリと告げられた。
快斗「・・・マジで?」
楓「?うん。」
思わず箸を落としそうになりながらも澪に話の続きを聞く。
快斗「獲物は?」
楓「紫紅の爪。神聖ローマ帝国の君主、マリア・テレジアも目が奪われたと言われる100カラットあるアメジストのついたミュール。」
快斗「やっぱ金持ちは次元が違うよなぁ、取り寄せ品の。」
楓「まだどうやって展示するかは決めてないみたいで夜な夜な魘されてるらしいわ。」
快斗「・・・よくそんな情報知ってるな?さてはお嬢様か?」
楓「うん。園子お姉さんからの情報。」
快斗「・・・間違いようのない情報だな、それは。」
楓「どうする?受けるの?」
快斗「そりゃ勿論、受けてたつさ。」
そう言って笑えば、澪も笑った。
楓「言うと思ったわ。」
少女の機嫌は頗る良かった。食事が終わり、ソファでのんびりと爺さんがどこに展示するかで話し合っていても。
快斗「この前は博物館だったしなー・・・。家はねぇだろうし、本人の持ってるビルとかか?」
楓「でもそれ、結構な量になるよ?人を集めれる場所、にしたって東都だけでも結構な数あるし・・・。」
快斗「まぁいつも通り屋上とか屋内だとやりやすいんだけどな。」
楓「・・・。」
快斗「?澪??」
楓「いや、案外・・・地上に展示されたりして。空地とか。」
快斗「空地には流石に展示しないんじゃねぇか?」
楓「・・・それもそうだね。引き続き調べてみる。」
快斗「おぅ。こっちでも調べてみるから無理はすんなよ?」
楓「?無理なんてしてないよ?」
そう言って首を傾げる少女の頭を撫でる。
快斗「こういう時は素直に受け取るもんだぜ?」
楓「・・・伝える相手、間違えたかな。」
困ったように笑う少女。こちらへ抱き寄せれば、抵抗もなくすんなりと受け入れてくれる。
快斗「ばーか。俺らはパートナーだろ。それくらい分かるっての。」
楓「・・・ずるいや。」
顔は見えなかったけれど、どこか嬉しそうな声色をしていた。