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ネモフィラを夢に見る

第14章 Purple Nail





楓「・・・それで、わざわざ偽の予告状を本物にしてしまったの?」



ため息をついて、ソファからこちらを見下ろす少女。


快斗「仕方ねぇだろ。・・・まぁ、多少は気になったし。」
楓「それでこんな痣作っても仕方ないの?」


着ているTシャツを捲し上げられ、露わになるのは酷い大きな青痣。青嵐を盗むと偽の予告状を出した製作者の元へ行ったはいいが・・・。


快斗「あの名探偵、手加減てものしらねぇな?」
楓「知ってたらこんなことにはなってないわ。」
快斗「だなー・・・つめたっ!?」


いつの間にやら少女の手には氷の入ったビニール袋があり、痣を冷やされる。


楓「ろくに冷やしてないんでしょうけど、体育とかで着替えるときに出来るだけ目立たない方がいいんだから、ちゃんと手当てした方がいいよ。」
快斗「・・・わりぃ、澪。心配かけた。」
楓「・・別に、心配なんてしてないわ。」


正座をしていた俺の膝にちょこん、と座って少女は痣を見つめる。


楓「貴方が捕まるなんて、想像もしていないもの。それに、捕まったとしても脱出させることくらい容易いわ。」
快斗「んー念のため、その方法を聞いても?」
楓「システムにハッキングして全機能を停止させて、それから、」
快斗「分かった。分かった。それ以上はいい。聞かないでおく。」
楓「そう?」
快斗「あぁ。俺は捕まるつもり一切ないし。」
楓「・・・そう。」


少女はこちらを見ようとしない。仕方がないので抱き上げてソファに座り、膝に乗せ直す。


快斗「悪かったって。寺井ちゃんから聞いたけど、俺がやりやすいように手回してくれたんだろ?ダミーも助かったよ。」


そう言えば、少女は少し膨れながらもこちらを見た。


楓「・・・ご飯。」
快斗「ん?」
楓「今日のご飯、快斗が作って・・・。」


視線を逸らしながら、文末の声はかなりか細く呟く。


快斗「・・・おぅ!任せろ!」
楓「お魚一匹丸ごとの煮付けがいい。」
快斗「ごめんなさいそれは難しいです。」





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