第11章 Like a Dream
ある日の夜遅くに、ベルモットは帰ってきた。
フラフラと、いつもよりも足音が覚束ない。
楓「・・・ベルモット?」
ベ「!・・・起きていたの?フォーギヴン。」
ふわりと笑うベルモットだけれど、いつもより疲れているのが目に見えて分かる。
楓「大丈夫?お風呂入る?」
ベ「・・・そう、ね。入りたいわ。それから、救急箱持ってきてくれない?」
そう告げるベルモットにこくりと頷いてお風呂を沸かして救急セットを持ってリビングに戻る。
楓「どうしたの、ベルモット。誰に会ってたの。」
ベ「あら、珍しいわね。貴方が把握してないなんて。」
楓「はぐらかさないで。」
そう告げれば、ベルモットは小さくため息を零して、告げる。
ベ「シェリーよ。・・・ライに邪魔されてしまって、始末は出来なかったけれど。」
楓「ライ?まだ日本にいるの?」
ベ「えぇ。私を追いかけて日本に来てるの。あの金髪のFBIとね。」
楓「・・・無理しすぎ。なんで連絡くれなかったの。」
ベ「休暇中な上、私のミスに巻き込めないわよ。・・・こうして待っててくれるだけで、十分よ。」
そうして、優しく頭を撫でられる。大人しくそれを受け入れていると、声を掛けられる。
ベ「・・・ねぇ、フォーギヴン。そろそろアメリカに戻らない?」
楓「・・・。」
ベ「嫌なら、嫌と言ってくれて構わないのよ。こちらに仕事を回してもらうだけだから。」
楓「ボスは?」
ベ「貴方に任せる、とのことよ。」
そう言って微笑んでくれる。本当は、本当なら、帰らなければならないのに。
楓「・・・まだ、帰りたくない。」
ベ「・・・えぇ。」
楓「友達と、離れたく、ない。」
ベ「・・・えぇ。分かってるわ。」
優しく頭を撫でられて、目頭が熱くなる。
楓「我儘で、ごめんなさい・・・。」
ベ「平気よ、これくらい。大したことなんて何もないわ。」
今は、今だけは、まだ。貴方の子でいさせて。