第11章 Like a Dream
フォ「あー美味しかった!」
キ「それは良かったわ。」
ニコニコと微笑むフォーギヴンに少し安堵する。
フォ「それで、今日は何の話がいい?」
いつも、少しだけ組織の人間の話をしてくれるフォーギヴン。最初はとても怪しまれたけれど、故人のことも聞くとあっさりとその警戒心を解いてくれた。
キ「そうね・・・なら、最近組織で噂のバーボンとか、どうかしら?」
フォ「バーボン?そんなに有名になってるっけ?」
キ「えぇ。最近、ベルモットのお気に入りでよく仕事を回してるって噂よ?」
フォ「んー、それは別に間違ってはないかなぁ。」
そう告げる少女。やはり、あの噂は本当だったらしい。バーボンは随分と、頭が回る人間のようだ。
フォ「バーボンね、とっても好き。欲しい情報をくれるの。」
キ「へぇ。凄いじゃない。貴方が欲しい情報って、かなり難しいでしょうに。」
フォ「そんなに難しいかなぁ。」
むぅ、と首を傾げる少女にクスクスと笑う。
キ「でも、バーボンとも連絡を取ってるのね。知らなかったわ。」
フォ「実際会ったことはないの。メールとか手紙で!」
キ「あら、そうなの?」
フォ「うん。だって、どこから情報が漏れるか、分からないじゃない。」
そう言って、コトリと持っていたオレンジジュースのグラスを置いた。
キ「そうね、貴方の情報はとても大事だもの。」
フォ「そう?私はただの端末なのに。」
キ「そんなことはないわ。だ、て・・・」
グラリ、と視界が揺れる。おかしい。どうして?
フォ「言ったでしょ、キール。」
歪んでいく視界で、少女はニコリと嗤った。
フォ「情報は、どこから漏れるかわからない。そうでしょう?イーサン・本堂の娘、本堂瑛海。」
目を覚ますと、ホテルの一室だった。
キ「・・・あ、れ?」
どうして、こんな部屋で寝ているのだろう。確か、
キ「ベルモットと、レストランに居たはずなのに。」
メールを見ると、ベルモットからの連絡だった。飲ませすぎたとの謝罪も入っている。
キ「・・・だからあの人と飲むのは嫌なのよ。」
CIAからの連絡も入っている。フォーギヴンの情報を更に集めよ、とのことだけれど。
キ「困ったわ。“連絡先も知らなければ、会ったこともないのに”。」