第10章 Mystery Passenger
案の定、頼れるコナンくんが解決方法を思いついたようで、歩美の探偵バッジに耳を澄ませる。
コ「いいか、チャンスは一度だ。トンネルを抜けた瞬間が勝負だぜ。」
光彦「わ、わかりました。」
元太「おぅ!」
女性を一人人質にとって逃走するつもりの犯人二人。に見えるけれど、人質の女性もどうやらグルだな、あれは。
楓「・・・。(あんなにタイミングよく風船ガム後ろで割られちゃ、嫌でも分かるっての。)」
ため息を小さく一つついて、その時を待つ。
男「言う通りにすりゃ、命は助かるんだから・・・。」
トンネルの終わりが、見える。
コ「よく言うよ!どうせ殺しちゃうくせに!顔を見せたってことは、そういうことでしょ?早く何とかしないと、皆ころされちゃうよ?この爆弾で!!!」
そう言って、博士と爆弾の入った鞄を持ち上げるコナン。楓は歩美をしっかりと抱きしめる。
歩美「楓ちゃん?」
コ「早く!!!!」
運転手「え?」
そう言って運転手はバックミラーを見る。鞄を見ると、STOPと書かれている。
運転手「ス、ストップ!?」
急ブレーキがかかるバス。
楓「おじさん!何かに捕まって!」
「あ、あぁ!」
一番後ろの席に座っている、補聴器をつけたおじさんにそう伝えて腕の中で必死にしがみついている歩美をより抱きしめる。
道路のど真ん中で止まったバス。歩美を放して後ろを覗く。
楓「大丈夫だった?」
「あ、あぁ。ありがとう、お嬢さん。」
「きゃぁあああ!!?」
仲間の女性が急に叫びだした。
「さっきの急ブレーキで爆弾のスイッチが入っちゃったのよ!!爆発まで1分もないわよぉ!!!」
コ「なっ!?」
運転手に扉を開けてもらい、乗員たちは慌てて飛び出していく。
哀「・・・。(これで、良かったのよ。)」
赤いフードを被った少女を残して。