第10章 Mystery Passenger
歩美「スキー楽しみだね!」
楓「ねー。」
隣でニコニコと笑う歩美に、そう返事をする。
歩美「楓ちゃんはスキーやったことある?歩美初めてなの!」
楓「私も初めて。スキーとスノボだったら、どっちの方が難しいんだろう。」
光彦「そうですねぇ。普段からスケボーやサーフィンをしている人だったらスノボの方が向いてるかもしれませんね。スノボの選手がスケボの試合に出てることもあるそうですから!」
バスの中ではしゃぐ子供の声。とても穏やかだ。
コ「あんまり声大きくすんなよ?他にも人は乗ってんだし。」
元太「わかってるっての!」
ったく、とため息をつくコナンの表情は最早保護者のソレだった。
「Oh!! Cool kid!!!!」
そう言いながらニコニコとやってくる金髪の女性。コナンはきょとん、としてそちらを見る。
コ「ジョディ先生?どうしてここに?」
ジョ「Mr.新出とこれからデートでぇす!」
カタコトの日本語を喋る女性。蘭たちが通う帝丹高校のALTだそうだ。そのすぐ後ろにいるのは新出先生と言うらしい。
新出「たまたまバス停で出会っただけですよ。」
ジョ「Ladyに恥をかかせちゃいけませーん。」
そう言いながらコナン達の前の席に座る。
楓「・・・。」
ちらり、と灰原の表情を伺えば、とても顔色が悪い。それを分かっているのかは分からないが、コナンがパッと席を変わる。
楓「・・・。(意地悪。)」
そう口を動かせば、口元を緩める人物。
ふいっとそっぽを向いて外を眺めることにする。
元太「おい、見ろよ。あの二人、こんな所からもうスキーの恰好してるぜ?」
光彦「うわ、せっかちですねぇ。」
そんな二人の声に視線をバスの中へ戻す。
歩美「でも、気持ちは分からないでもないわ。」
光彦「そうですねぇ。」
その二人組を見て、思わず目を丸くした。
楓「・・・歩美ちゃん。」
歩美「どうしたの?楓ちゃん。」
楓「座った方がいいかも。」
歩美「え?どうして。」
パァンッ!と突如、銃声が響き渡った。