第2章 Start Japanese Life
「はじめ、まして。天宮 楓です。よろしく、お願いします。」
すごく緊張した。アメリカを出る時に使った名前を話してしまいそうで、ちらちらと黒板を見て名前を告げてしまったのは、自分だけの秘密。きっと先生にもバレてないと思う。
日本に来てすぐ、ベルモットは小学校の転校手続きを済ませてくれた。
家の中は段ボールがたくさんあるけれど、気にせずに学校に行きなさい、とベルモットに言われて学校へやってきた。
自己紹介を終えて自分の席に座ると、隣の女の子が声をかけてくれる。
「私、吉田 歩美!よろしくね!」
ニコニコと微笑んでくれる女の子に、嬉しくなった。
楓「よろしく、ね。」
歩美「あ、私のことは歩美でいいよ!歩美も楓ちゃんって呼ぶから!」
楓「分かった。歩美ちゃん。」
歩美「ふふっ。」
歩美ちゃんは嬉しそうにしながら、先生の話を聞いている。
こんなに子供たちが集まっている場所が、本当にあるだなんて。
「ねぇねぇ、天宮さんはどこから来たの?」
「好きな食べ物なぁに?」
「一緒に遊ぼうよ!」
ワイワイと机の周りに集まるクラスメイト。どんどん少年少女たちから飛んでくる質問に戸惑う。
楓「あ、と、」
歩美「楓ちゃんは今から歩美と学校探索するからダメ!」
楓「歩美ちゃん・・・?」
歩美「ね、楓ちゃん。昼休みは一緒に学校探検!」
楓「あ、うん。わかった。」
歩美「その時、歩美が全部聞くから!」
ニコニコと微笑む少女に静かに頷いた。