第7章 Small Woman
どうしてこうなったのだろう。
楓「・・・。」
哀「・・・。」
シェリーと二人きり。阿笠博士の家で。
コ「わりぃ。蘭姉ちゃんから連絡入った。」
博士「すまんの、学会から呼び出されてのー。」
それに合わせて、帰るつもりにしていたのに。
博士「哀くん一人じゃ少し心配での。もし用事が無いのなら、一緒に留守番していてくれんかの?」
阿笠博士はシェリーの実の年齢を知っているのだろうか、と聞きたくなるような言葉を残して行ってしまった。
楓「あ、の・・・灰原、さん。」
哀「・・呼びにくそうね。好きに呼んでくれていいわよ。」
そう、素っ気なく返された。けれど、その言葉に楓は思わず目を丸くする。こんなに接しやすいタイプだっただろうか。
楓「・・・哀、ちゃん?」
そう言うと、シェリーはふわりと笑った。
哀「えぇ、何かしら。楓さん。」
そう返され、何故かホッとする。訳が分からず、思わず首を傾げる。
哀「ごめんなさい。博士が無理言ったわね。」
楓「ううん。用事も何もないから、その、大丈夫。」
哀「貴方、人見知りするんでしょう?・・・無理に、話しかけなくてもいいわよ。」
そう言って、目を伏せる少女。
楓「・・・あの、ね、哀ちゃんに話しかけるのが、嫌なわけ、じゃないの。」
哀「・・・?」
楓「・・・自分に、自信がない、だけなの。」
本音だった。小学校に通うようになってから感じるようになった不安。私は、小学生を出来ているのだろうか。普通の子供のように、接することができているのだろうか。
ここに居て、いいのだろうか。
哀「いていいのよ。」
楓「・・・え?」
少女はまっすぐ、こちらを見ていた。
哀「貴方は、ここに居ていいのよ。自信をなくす必要なんてないわ。」
どうして、欲しい言葉をくれるのだろう。
私は、護れなかったのに。