第6章 Robber of Lady
宮野明美を処分した。そう、ジンから連絡が来たのは早かった。
ベ「・・・フォーギヴン。」
スマホから視線を逸らし、茫然とどこかを見つめている少女。
彼女は、今まで自分が関与したモノにおいて、ミスをしたことなどなかった。この、宮野明美に関与するまでは。
ベ「フォーギヴン。」
楓「・・・ん?なぁに、ベルモット。」
ベ「貴方、宮野明美を生かしたかったのでしょう?」
楓「・・・どうして?」
首を傾げる少女。
ベ「だって貴方、関与したじゃない。今まで、裏切り者に興味を持たなかった貴方が。」
楓「・・・アハッ。」
その嗤いに、思わず背筋が凍った。
楓「あの人が最後にどんな言葉を遺すかが気になっただけ。別に、彼女が死のうが生きようが、私には関係のないことよ。」
そう言って、哂う少女に背筋を襲う悪寒が止まらなかった。だというのに、私は笑うことを辞めれなかった。
ベ「なら、貴方は最初から、彼女を救うつもりなどなかったのね。最初から!貴方は、彼女の“死に様”に興味があったのね!」
楓「それが、どうかしたの?」
さも当然のように質問を投げかけてくる少女。
あぁ、どこで間違えてしまったのだろう。どこからおかしかったのだろう?この壊れてしまっている、壊れてしまった少女に気付かなかった自分に銃口を向ければいいのだろうか?それとも、組織の指示通りに、従順で素直な子を育て上げてしまったことに拍手を送ったらいいのだろうか!
楓「ねぇ、ベルモット。」
ベ「なぁに?フォーギヴン。」
少女はこちらを見て哂った。
楓「貴方は、どんな言葉を遺すのかしら。」
あぁ、壊れてしまった人形。
愛らしい、私のお人形。可哀想な子。
頬を濡らすそれに、気付きはしなかった。