第6章 Robber of Lady
ジンに呼び出された。その直後に鳴るスマホ。
明美「・・・はい。」
「こんにちは、お姉ちゃん。」
今、聞きたかったのに、聞きたくない声が聞こえた。
明美「・・・フォーギヴン。」
楓「お姉ちゃん、時間がないの。すぐに、選んでほしい。」
そして、少女は残酷な言葉を放った。
楓「シェリーと会えなくなるか、死ぬか。選んでほしい。」
少し戸惑った。けれど、1つの選択肢は、ジンに呼び出された時点で理解していた。だからこそ、少女は今、電話してきたのだろう。
明美「貴方は、一体・・・どうして、ここまでしてくれるの?」
楓「・・・貴方が、お姉ちゃんと、呼ばせてくれたから。」
ある日、妹が呟いたものを思い出した。きっと、妹ですらも最早、憶えていないだろう、ある出来事。それはきっと、この少女には関係がある気がした。
明美「だって、貴方は、組織に、」
楓「だからだよ。」
明美「!」
楓「お姉ちゃんって、呼ばせてくれる人が居るんだって、思えただけで・・・私はそれで良かったの。」
少女は電話越しにでもわかるくらい、声が震えていた。
楓「・・・お願い、選んで。シェリーと会えなくなるか、死ぬか。」
その言葉に、私は迷わなかった。
明美「教えて、フォーギヴン。貴方の指示。」
そう告げれば、少女は一瞬間を置いてから、言葉を紡いだ。
楓「ありがとう。」
きっと、電話の向こうの少女は泣いていた。