第6章 Robber of Lady
フォーギヴンが妙に好戦的だった。
ベ「・・・休みが長すぎたのかしらね。」
ケータイには着信が入っていた。折り返し連絡を入れると、男は即座に電話に出た。
「こんばんは。随分忙しくされてるみたいですね。」
ベ「まぁね。それで、どうかしたのかしら?バーボン。」
電話をかけてきた男、バーボンにそう質問すると、一息間が空いてから言葉が紡がれる。
バ「近々、ジンが日本へやってくるとの情報が手に入りました。事実ですか?」
ベ「えぇ、事実よ。早ければ5日後には来るんじゃないかしら。」
バ「そうですか。」
ベ「あぁ、そうだ。ジンには暫く近寄らないことをオススメするわ。」
バ「おや、どうしてでしょうか?」
ベ「それはもう、とても機嫌を損ねることが起こるからよ。」
そう告げると、電話の向こうでおや、と言葉が続けられる。
バ「貴方が起こすことではなさそうですが・・・随分と、楽しそうですね。」
ベ「あら、そう聞こえる?」
バ「えぇ。面白い観劇でも?」
観劇、と捉えるバーボンに、思わずふふっと笑いが零れる。
ベ「そうね。日本風に言うのなら、茶番かもしれないわね。」
バ「ほぉ。そうですか。」
ベ「けれどそれは、茶番じゃなくなってしまう。・・・貴方の言う通り、劇に近いわね。それがとても楽しみだわ。」
バ「貴方も僕も、その舞台には立たない、と。」
ベ「えぇ。面白可笑しく見守りましょうよ。・・・面白半分にその舞台に近寄れば、近いものも遠ざかってしまうわよ?バーボン。」
その言葉に少し考えたように間が空き、言葉が返ってくる。
バ「それなら諦めましょうか。」
ベ「えぇ、そうした方が賢明だわ。」
バ「・・・あぁ、そうだ、面白い話を聞いてしまって、本題を忘れるところでした。」
ベ「あら、ジンの話じゃなかったの?」
バ「えぇ。ベルモット、貴方、“手紙を出しましたか?”」
その質問に、ベルモットは顔を顰める。そんな覚えなど、一切ない。
ベ「いいえ、ないわ。何か?」
バ「そうでしたか。ならこの質問は聞かなかったことにしてください。」
ベ「その手紙にはなんて?」
バ「いいえ、何も。だから、念のためですよ。」
ベ「・・・貴方、恨まれることもあるのね。」