第1章 Welcome to Japan
フォ「無理なら、無理って・・・言って・・・。」
徐々に、言葉が小さくなっていく少女。
この少女からの我儘。それは、ベルモットが聞くのは初めてのことだった。生まれたときから組織の人間であった彼女は、自分を押し込めるようにしてこの世界で生きてきた。いいや、そうさせてきた。
ベ「・・・潮時、かしらね。」
フォ「?ベルモット??あの、やっぱり聞かなかったことに」
ベ「日本に用事があるのよ、私。だから、日本の学校でも構わないかしら?」
そう質問すると、ぱぁっと顔が明るくなる。
フォ「も、勿論!いいの?」
ベ「えぇ、構わないわよ。」
フォ「ありがとう、ベルモット。」
心底嬉しそうに微笑むフォーギヴンにベルモットも嬉しくなった。
フォ「ベルモット?」
ベ「さ、用意出来た?日本に行く用意も後でしないといけないし、先に仕事終わらせましょう。」
フォ「えぇ!」
何事もなく仕事を済ませ、ご機嫌なフォーギヴンを部屋に戻し、あの方に報告を終えた帰り道のことだった。
「どういうつもりだ、ベルモット。」
ベ「あら、ジン。なにが?」
ハッと嘲笑う彼。どうやらどこかで彼女のことを聞いたらしい。
ジ「とぼけてんじゃねぇ。フォーギヴンのことだ。」
ベ「日本の小学校に通わせる。それが何?」
ジ「奴から情報が漏れたらどうするつもりだ。」
こちらを睨みつけるジンにベルモットはやれやれとため息が零れる。
ベ「あの子がそんなことをすると思う?日本には、彼女の顔見知りは一人も居ないはずよ?」
ジ「・・・。」
ベ「それに、あの方にも了承は貰っていることよ。」
その一言にフンと鼻を鳴らしてこちらに背を向けた。
ジ「妙な動きを少しでもしたらすぐに引き上げさせろ。」
ベ「分かっているわ、そんなこと。」
踵を返して彼女の部屋へ歩いていく。
あぁ、彼女はこんなにも私を満たしてくれる。