第1章 Welcome to Japan
「またあの小娘と任務か。」
ベ「えぇ。あのお方の指示よ。何か文句がある?ジン。」
どうやら不機嫌らしいジンと遭遇し、ベルモットはふわりと笑う。
ジ「・・・さっさと終わらして戻すんだな。」
ベ「わかっているわ。」
そう告げてフォーギヴンにあてがわれた部屋に入る。
ノックもせずに入るが、いつものことで彼女は自分に対して、そんなことを気にしたことがない。
ベ「フォーギヴン。・・・あら。」
モノクロの部屋。フォーギヴンの姿が見当たらない。
天蓋が閉められているプリンセスベッドを覗くと、そこに彼女は居た。
ベッドですやすやと眠る少女を見て、ベルモットは思わず顔が緩む。ベッドの脇に座り、少女の頭を撫でる。
フォーギヴン。それがこの少女のコードネームである。
まだ6歳であるにも関わらず、少女はこの組織でコードネームを手にしている。
頭を撫でるのをやめると、ぱっちりと少女は目を覚ました。
ベ「Good morning.お目覚めかしら?眠り姫。」
フォ「おはよう、ベルモット。」
まだ頭が動いていないようで、ボーッとこちらを見る少女にベルモットは言葉を紡ぐ。
ベ「いい子ね。起きて早々に悪いのだけれど、仕事よ。」
『仕事』というワードで意識がはっきりとしたらしい少女は自分が共に行くのか、と質問をしてくる。これに肯定すると少女は幸せそうに笑った。
そんなに嬉しそうに笑われて、少し戸惑ってしまった。
任務は、いつもと違うものなのに。
フォーギヴンがベッドから降りて身支度を整えている途中、思い出して声をかけた。
ベ「フォーギヴン、この仕事が終わったら何かしたいことはない?少し長い休みを用意するそうよ。」
そう言葉を告げると、フォーギヴンはバッとこちらを見た。
フォ「・・・あのね、一つだけ、我儘、あるの。」
その言葉に内心驚きつつ、言葉を続ける。
ベ「内容次第よ、お姫様。」
これくらいの子供であれば、おもちゃなどを求められるのだろうか。それとも、年齢にそぐわず、仕事用のパソコンなどを求められるのだろうか。予想が出来ず、そう返していた。
フォ「あのね・・・学校に、行きたいの。」
ベ「・・・。」
予想していなかった言葉に、思わず固まってしまった。