第5章 White Phantom thief
ベ「お帰りなさい、フォーギヴン。」
楓「ただいま、ベルモット。」
ベ「よく補導されなかったわね。」
楓「警察の巡回順くらい、すぐわかるから大丈夫。」
ハッキングした情報を思いだし、そのままお風呂へ入る。
ベ「フォーギヴン?なんだか機嫌がいいわね。」
楓「ふふ、散歩がね、とっても楽しかったの。」
ベ「そう、良かったわ。」
楓「一緒にお風呂入る?」
振り返ってそう聞くと、ベルモットは目を丸くした。
ベ「随分、楽しかったのね。」
楓「?うん。楽しかったよ。」
ベ「一人で入ってらっしゃい。私はもう入った後よ。」
楓「そっか。」
ベ「のぼせないでね?」
楓「分かってるよ。」
湯舟に浸りながら、少女は思い返す。
帽子を外した彼の表情。きっとあれは、素顔だろう。覚悟を決めていた。
楓「・・・手強そうねぇ、彼。」
あの小さな探偵は、どうやって陥落させるつもりなのだろうか。いいや、考えるまでもなかった。
きっと彼なら、真っ直ぐに、正面きって対峙するのだろう。
そして、彼は笑うのだろう。絶対に捕まえてみせる、と。
楓「・・・案外、悪いペアじゃないと思うし。」