第4章 Black Liquor
キ「前に組んだ人間に、ライとの方が仕事しやすかったと言われて。・・・少し気になっただけよ。」
はて、と首を傾げる。“そんな事を言う”人間が組織の中にいるなんて。
楓「そっか。でも次ジンに会う時にその名前出しちゃダメだよ。銃向けられるだろうし。」
キ「もう向けられた後だわ。」
楓「あらら。じゃあ次は本気で撃たれちゃうから止めた方がいいよ。」
キ「えぇ、そうするわ。」
楓「・・・キールって優しいよね。」
思ったことが、つい口から零れてしまった。キールは不思議そうにこちらを見る。
キ「そう、かしら?」
楓「うん。ベルモットとは少し違う。・・・私が心配?」
まるでこちらを気遣うような言葉選びに、レストラン選び。表情も少し気にかけているのだろうか。
キ「・・・そうね。貴方がいなくなれば、組織は血眼になって探すでしょうし。」
楓「そうだね。本当はこうして会うのもあんまり良くないし。・・・内緒ね?」
キ「え?えぇ・・・でも、内緒って?」
楓「ジン。・・・すぐ銃向けてくるし、脅されるしあんまり好きじゃないの。」
そう話すと、キールは困ったように、肩を竦めながら笑った。
キ「それは、誰でも好きじゃないわ。」
食事を終えて、部屋に戻る。
楓「・・・キールって、本当に優しい。真面目なのかな。それとも、」
私が子供だから、哀れんでいるのだろうか。