第4章 Black Liquor
「フォーギヴン。」
楓「こんばんは、キール。」
探していた人物を見つけて、駆け寄る。
今日はベルモットは帰ってこない。どこかで聞きつけたのか、それともベルモット本人から言伝でも貰っていたのか。ベルモットが帰ってこない日は、キールといつもご飯を食べるようになっていた。
楓「お話って何?」
キ「えぇ、それも話すけれど、先にお店に入ってしまってもいいかしら?」
楓「うん、いいよ。私もお腹空いちゃった。」
キ「今日は平日だし、学校にでも行っていたの?」
楓「えぇ。案外楽しいの。」
お店に入り、適当にメニューを頼む。
楓「それで、聞きたいことって何?」
キ「・・・貴方に聞くことではない、と分かっているのだけれど。ジンやウォッカは話してくれないし、他の人間は裏切り者、としか教えてくれないから。」
楓「裏切り者の話?知ってることなら、いいよ。」
キ「ライの・・・組織への侵入手口と、素性を知りたいのよ。」
きょとん、とする。ライ。あぁ、なるほど。それはジンの機嫌を損ねる名前だ。
楓「諸星大・・・本名、赤井秀一。FBIの人間だよ。」
キ「FBI・・・そう。」
考え込むようにした後、それで、侵入手口は知っている?と言葉を続けた。
楓「宮野明美を利用して組織に入ったらしいよ。ライだった頃は髪を伸ばしていたけれど、今は切り落としてる。スナイパーとしての腕はピカイチだったものだから、残念ね。」
キ「残念?」
楓「だってそうじゃない?任務成功率100%の凄腕のスナイパーだよ?スパイじゃなければ、とっても重宝されただろうに。」
そう話を続けると、キールは少し困ったように笑った。
キ「そうね。貴方にそこまで言われるのだから、素晴らしい腕を持っていたのでしょうね。」
楓「拠点を彼は日本に置いていなかったから、キールは会ったことないだろうし・・・ね、キール。この情報がどうかしたの?」
最初に疑問に思ったことを口にすると、キールは少し複雑そうな表情を見せた。