第4章 Black Liquor
考え込むフォーギヴンに、ベルモットは心の中で焦っていた。
やはり、話をすべき段階までにはなっていなかった。
ベ「嫌なら、嫌と言ってくれて構わないわ。今は休暇中だもの。」
楓「・・・大丈夫だよ。それくらいなら。」
ベ「・・・。」
楓「ベルモットの足手纏いにはならないように、するから。」
そう告げる少女。ベルモットは優しく頭を撫でる。
ベ「貴方が足手纏いだなんて有り得ないわ。」
楓「・・・本当?」
べ「えぇ。ジンが組織のメンバー全員と仲が良いくらい、有り得ないことだから安心して頂戴。」
楓「・・・それは、有り得ないね。」
クスクスと笑う少女にベルモットも微笑む。
ベ「私も一緒に会うわ。バーボンでなくとも、他のネーム持ちに会うことは出来る?」
楓「・・・キャンティは?」
ベ「そうね・・・日本に来る予定はなかったはずだわ。」
楓「そう。」
以前、別のネーム持ちをフォーギヴンと行動させたことがあった。その時、彼女が大人しすぎた故にその人物の憂さ晴らしに遭った。
その前のネーム持ちはノックだったことが判明し、すぐに切り離した。・・・どちらの記憶も、少女には残っていないはずだ。けれど、少女はそれ以来、男性に苦手意識があるように感じる。
楓「じゃあ・・・あ、キール。」
ベ「キール?貴方、キールを見かけたことでもあるの?」
楓「ううん。資料読んだだけ。」
ベ「そう。確かにキールなら日本にいるわね。彼女に連絡を取っても構わない?」
楓「うん。ベルモットも一緒よ?」
ベ「勿論よ。」
頑なに、部屋を出ようとしなかったあの子が、学校に行き始め、他の人間に会うことを許してくれる。そんな変化に、ベルモットはつい頬が緩む。
楓「ベルモット?」
ベ「何でもないわ。日にちは決めてしまっていい?」
楓「うん。ありがとう、ベルモット。」
ベ「お礼を言われることは何もしていないわよ。」