第4章 Black Liquor
楓「ボスに言われた?」
べ「いいえ、そういうわけではないわ。」
ベルモットは少し考えて、言葉を選んでいる。
ベ「貴方に会ったことのあるコードネーム持ちが少ないの。・・・現状、ジン、ウォッカ、ラムとキュラソー...私の5人だけよ。」
楓「それじゃあダメ?」
ベ「・・・今は問題ないと思うわ。でも、施設に引き籠るにせよ、誰かしら接触する必要はあるわよね。」
そう言われ、考える。
確かに、今のメンツでは施設にいない日が多いだろう。けれど、だからと言ってネーム無しの人間に会うのも少し気が引ける。・・・いいえ、そうじゃない。ベルモットは、そんなことが言いたいわけではない。
楓「・・・ねぇ、ベルモット。私に紹介したい人でもいるの?」
きっと、これが私が聞くべき正解。本当の答えでない、と分かってるけれど、これが正解なのだ。
ベ「・・・日本を拠点に活動しているネーム持ちが数人居てね。可能なら、その人達と暮らしてもらう方が健康上いいと思うのよ。」
楓「施設に住むことも進めているのに?」
ベ「ネーム無しに会いたくなさそうにしてるのは貴方じゃない。存在そのものが無いような情報操作をしておいて。」
少し困ったように笑うベルモットに肩をすくめる。
楓「口が軽い人多いんだもの。」
ベ「全く・・・。」
楓「・・・それに、」
ベ「・・・悪かったわ。ごめんなさい。嫌なこと思い出したわよね。」
ぎゅ、と抱きしめてくれるベルモットの体温に落ち着く。
ベ「バーボンという男を知っている?」
楓「・・・うん。この前ベルモットと日本で仕事してた人でしょう?」
ベ「えぇ。・・・どうやら、貴方のことを噂で知ったようだったから、会ってみないか、と思っただけなの。」
ベルモットの言葉に違和感を覚える。噂になるほど、フォーギヴンには知名度がない。
楓「・・・ねぇ、ベルモット。彼、ジンやウォッカと仲がいいの?」
ベ「いえ、そんなことはなかったと思うわよ。まぁ、悪くもない・・・というより、そこまで彼らに接点がない、というのが正直なところね。」
楓「ふぅん・・・。そっか。」