第3章 Little detective
コ「天宮 楓?」
歩美「うん。昨日は用事があって一緒にいなかったけど、歩美と仲良しなの!楓ちゃんも1ヵ月前に転校してきたんだよ!」
そう、歩美は告げる。天宮 楓。話したことはない。
とは言っても、俺が転校してきて数日しか経っていないのだから、話していない人間がいてもおかしくはない。というより、むしろ普通のことだ。
けれど、その少女は歩美と仲が良いというのに、話したことがない。
コ「天宮さんはどんな子なの?」
歩美「えっとね、凄く人見知りするの。でも、すっごく優しい子なんだよ。」
光彦「そうですね、楓さんは一歩下がることが多いですし。」
元太「悪い奴じゃねーぞ!」
人見知り。優しい。一歩下がる。
なるほど、とコナンは思った。
人見知りだから自分の元には寄って来ず、優しく、一歩下がる性格だから、歩美達3人と共に俺の元へ来ない。
歩美「あ!楓ちゃーん!」
後ろを歩いてくる少女に歩美は手を振る。少女はこちらに気付いたようでパタパタと走ってくる。
楓「歩美ちゃん、どうした、の・・・。」
歩美「楓ちゃん、この子がコナンくんだよ!」
話しかけたことがない人物がいることに気付いたのか、楓と呼ばれた少女は歩美の後ろに隠れる。
コ「(めんどくせぇ・・・。)こんにちは。宜しくね。」
楓「・・・え、と、天宮 楓です・・・。」
少しだけ顔を見せた少女。黒髪に、茶色かかった黒目。真っ白な肌。病弱なのかと聞きたくなるほど、少女は細かった。
歩美「大丈夫だよ、楓ちゃん。コナンくん、悪い人じゃないよ!」
楓「え、と・・・。」
どういう意味だ、と思いつつ少女を見ると少し困ったような表情をしていた。もしかしたら、彼女も俺と同じことを考えたのかもしれない。
歩美「あ、そうだ!楓ちゃん、明日ね、コナン君と皆で美術館行くの!良かったら一緒に行かない?」
楓「美術、館?」
光彦「えぇ!美術館前に集合なんです。良かったら一緒に行きませんか?」
楓「・・・うん、行きたい。」
チラリ、と少女はこちらを見てそう返事した。