第3章 Little detective
今日はベルモットが帰ってくる日。
学校が終わってまっすぐ家に帰る。
歩美ちゃんに家に遊びに来ないかと誘いを受けたけれど、丁寧に断った。
パタパタと部屋に戻ると、ソファに目的の人物は座っていた。
楓「おかえり、ベルモット。」
ベ「ただいま。フォーギヴンもお帰りなさい。」
ニッコリと微笑むベルモット。アメリカでの仕事も問題なく終えたらしい。
楓「お仕事簡単だった?」
ベ「そうね、私じゃなくても良かった気がするわ。」
楓「そっか。」
ベ「今日は久しぶりにどこへ行こうかしら?貴方が選んでいいわよ?」
楓「え、いいの?」
ベ「勿論。」
どうやら、他にも収穫があったらしい。とてもご機嫌である。
楓「じゃあ、パスタがいい。」
ベ「パスタね。わかったわ。」
隣に座ると頭を撫でられる。
ベ「その前に、少しだけお仕事いいかしら。」
楓「うん、勿論。」
久々のお仕事である。
隣に座る少女はパソコンを開き、その容姿からは信じられない速度でタイピングをしていく。
ベ「・・・以上ね。確かに役に立つけど、幹部にする程でもないわね。」
楓「・・・うん、わかった。ありがとう。」
メールを送信し、少女はパソコンを閉じた。
ベ「相変わらず、薄いパソコンね。」
楓「ツールだもの。記憶媒体じゃないから、大きい必要がないよ。」
そう言って少女は哂った。
思わず、ゾクリとした。
年齢に合わないその哂い方に。底知れぬ少女の実力に。
楓「ね、お腹すいちゃった。まだ早いかな?」
ベ「いいえ。そろそろ出ようと思ってたところだから大丈夫よ。」
楓「楽しみだなぁ。」
本音を隠すのが得意な彼女に、自分を少しだけ重ねてしまった。