第16章 Unknown
書類を眺めて、虚空を見上げる。
楓「・・・何度見たって、変わらないものね。」
どうしても、知りたかった。でも、知ってしまって、どうしたかったのかなんて分からない。
初めて、知りたいと思った。
知って、どうするのだと言い聞かせた。
わからない。どうして知りたかったのだろう。
手を伸ばしてしまった。
楓「・・・くだらない、感情なんて。」
捨ててしまいたかったのだろうか。
違うと、思いたかったのだろうか。
そうであってほしいと、思ってたのだろうか。
楓「時間の、無駄かなぁ。」
書類を机にパサリと置いて、少女は椅子の背もたれに体を預ける。
楓「・・・あと、少しだけ。」
もう少しだけ、お願い。
机に置かれた2枚の書類。
私的DNA型親子鑑定書
親肯定確率 98%
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