第16章 Unknown
コナン「ねぇ、僕聞きたいことがあるんだけど。」
「どうした?坊や。」
広い工藤邸。書斎に二人は居た。
コナン「灰原が、懐かしい感じのする人を見たって言ったんだ。」
「・・・そうか。」
コナン「あの灰原が、街中で追いかけるくらいに。・・・赤井さん、何か知ってるんじゃないの?」
そう言って、少年は目の前の男性を見上げた。男性は少年を見下ろし、告げる。
赤井「なんのことだ。」
コナン「赤井さん、前に言えないことがあるって言ってたよね。それ、今教えてくれない??」
ニッコリと笑うコナン。男性は眉をピクリと動かした。
赤井「・・・知ってどうする?彼女に教えるのか?」
コナン「内容次第だよ。・・・何を隠しているの。」
そう言えば、赤井は頭を抱え、溜息をついた。
赤井「・・・雰囲気までは変えれなかった、か。」
コナン「・・・じゃあやっぱり、灰原の知り合い?」
赤井「あぁ。・・・坊やも良く知っているだろう?」
宮野 明美だ。
そう、男性が告げればコナンは目を丸くして声を荒げる。
コナン「生きてるの!?」
赤井「あぁ。・・・あまり大声を上げるな。隣に聞こえる。」
コナン「どうして・・・というより、なんで、」
赤井「どうやって生き延びたのか。ここに関しては我々も一切分からない。本人が頑なに口を割らないものでね。」
肩を竦める赤井にコナンは問いかける。
コナン「今は?」
赤井「証人保護プログラムを受けている。名前も見た目も変わっているさ。」
コナン「・・・灰原に伝えるつもりは?」
赤井「会えないのに伝えてどうする?」
そうさらりと告げる男にコナンは拳を強く握りしめるが、緩めた。
コナン「・・・そう、だね。」
赤井「宮野 明美は死んだ。あいつは別人だ。」
そう告げる男は、どこか遠くを見ていて、コナンは1つ溜息を零した。
コナン「赤井さんも会ってないんだね。」
赤井「あぁ。ジェイムズから報告を受けただけだ。」
コナン「そっか。」
赤井「だからこそ、あの日何があったのか、何故生き延びたのかは全く分からない。それこそ、現場にいた坊やの方が分かるんじゃないのか?」
コナンは首を横に振って呟く。
コナン「・・・協力者の影なんて、どこにもなかったよ。」