第16章 Unknown
ぱっちりと目を覚ますと、部屋だった。
楓「・・・あれ?」
「起きた?学校で倒れたのよ。」
顔だけをそちらに向けると、見慣れた女性が座っている。
楓「・・・倒れた?」
「えぇ、凄い高熱だったのよ。学校から電話がかかってきたわ。」
楓「ごめんなさい、迷惑かけて。」
「全然いいの。これくらい、なんてことないわ。それに、志保に似てる子・・・いえ、きっと、あれが志保なのね。」
楓「・・・明美お姉ちゃん、シェリーにその顔で会ってないよね?」
そう言えば、慌てたように顔を横に振る女性。
明美「会うわけないじゃない。貴方の母親よ?」
楓「・・なら良かった。明美お姉ちゃん、焦ってそのまま飛び出してきちゃいそうだなって思って。」
明美「もうっ、そんなわけないじゃない!ちゃんと変装教わってるのよ!」
楓「なら大丈夫。・・ごめんね。怒られない?」
明美「全然大丈夫。撒かれる方が悪いのよ。」
にっこりと笑う明美に、思わずつられて笑った。
楓「明美お姉ちゃん、良い方に変わってるね。」
明美「そう?貴方も良い方に変わってるよ。」
楓「・・そっか。」
明美「えぇ。そんなに笑うだなんて知らなかったわ。」
ベッドから半身を起こして明美を見つめる。
楓「・・・大丈夫?」
明美「全然大丈夫。むしろ、元気が有り余ってるわ。」
楓「ふふ、そっか。良かった。」
明美「ねぇ、フォーギヴン。無理してない?貴方こそ大丈夫?」
楓「えぇ、大丈夫。ありがとう。もう大丈夫だから。」
明美「本当?」
心配そうに覗き込んでくる明美。けれど、熱も下がっているし問題ない。
楓「大丈夫。」
明美「そう・・・。何かあったら呼んで。すぐに来るから。」
楓「うん。ありがとう。明美お姉ちゃん。」
そう言ってにっこり微笑めば、明美は何も言わなくなった。