第8章 雨宿りはお好き?
舞side
……なんとなく、なんとなくだけど、先生の様子がおかしい。
いつも大雑把な先生が、渡したタオルを丁寧に使ってるし、さっきからよく笑ってる。
一体どうしてだろう……と、先生を観察すると「……なんだよ。」なんて、照れ臭そうに俯くものだから、こちらまで恥ずかしくなってくる。
「おい、どうした?」
少し心配そうに私の顔を見た先生。
「…その、……。別に…何でもないですよ。」
まさか、先生の様子がおかしいです。なんて言えるはずもない私に、先生は「そうかァ……」と、どこか意味ありげに呟いた。
……まさか、私の考えている事が伝わってしまった…?
そんな事を思っている間にも、雨は更に激しさを増し、雨粒を地面に叩きつけていた。
「……アイツらとは……どうなんだよ。」
先生は、私から視線を逸らして、薄暗い空を見上げていた。
「…キスしたのは、先生が初めてです……。」
いきなりの質問に動揺しながらも、正直に答えると、先生は「……は?」と、呆気に取られたような顔をして固まった。
やっぱり今日の先生は変だ。
今だって絶望したような表現でため息ついてるし。
疲れてるのかなあ……。