第7章 猛れ!体育祭!
借り物競争も終盤。
先頭を走る少女、舞に釘付けになっていた教師4人は、ある異変にきづいた。
お題の封筒を持った舞がこちらへ向かって走って来ているのだ。
「む!もしやお題は俺か!」
「何言ってんだ。祭りの神である俺に決まってんだろ?」
「うるさいぞ二人とも。舞に選ばれるのはこの俺だ。」
ワイワイと中学生のような口喧嘩をする3人を横目に、不死川はじっと彼女を見ていた。
彼女の口はパクパクと何か叫んでいるようだが、こちらまでは届かない。
ひらひらと封筒を掲げながら、ただひたすらにこちらへ向かって走ってくるのだ。
「…がわ、せ…!!しな……先生!!」
不死川先生。
確かにそう聞こえた気がした。
未だに口喧嘩をしている3人を置いて、不死川は舞へと向かって走った。
「あ!先生、よかった、伝わったんですね!」
「あァ。ほら、早く行くぞ」
どさくさに紛れて彼女の手を握る。
少し砂っぽい彼女の手は、不死川にとって妙に新鮮に感じた。
(うわあ〜!!!みんなに見られてる〜っ!!不死川先生のファンに殺されるかも……!!!)
(どさくさに紛れて手を繋いじまった…あの3人に見られてなきゃ良いが…)
二人揃ってゴールテープを切る。
2位との圧倒的な差を見せ、舞達は1位に輝いたのだ。
「なァ、お題って……」
不死川は、ずっと気になっていた事を舞に問いた。
宇髄でもなければ煉獄でも冨岡でもない。
自身が呼ばれた理由が知りたかった。
「あぁ、これです。」
少し遠慮気味に不死川へ向けられた封筒。
その中から便箋を取り出し大きく書かれた字を読んだ。
"生徒を窓からふっとばす教師。"