第4章 恋に落ちる音がした
煉獄side
鬼の形相で職員室に戻って来た不死川は、後ろに宇髄を引き摺っていた。
どうしたのだと理由を聞けば"コイツから聞きゃいいだろうがァ……"と言って宇髄を椅子に縛り付ける始末。
「宇髄、一体何を仕出かした?第一今日は部活動があるのだろう。舞はどうした?」
「あー……舞にキスしようとした。」
「は?」
あまりに簡潔で、清々しい程に言い切った宇髄の言葉に、俺の頭は数秒間思考停止した。
宇髄が……舞に…キス??
舞が……宇髄から……キス…。
普段から仲のいい2人が室内でキスする光景など容易く想像できた。
「こんの馬鹿野郎がッ!!!」
「痛ッ!!」
俺と同じ事を考えていたらしい不死川が、堪らなくなって宇髄の頭に拳骨を落とすと、彼の宝石飾りがシャランと音を立てて煌びやかに揺れた。
「…つまり君は、俺たちを差し置いて舞に近づこうとした、ということだな。」
「ま、……まあな。」
俺たち3人だけの声が響く職員室。
他の教師は部活動やら何やらで不在。
「今日は他の奴らも居ねェしよ…何してもバレねぇよなァ??宇髄。」
不死川がボキボキと関節を鳴らして肩を回し、宇髄に拳を振り上げたその時だった。
コンコン……
「失礼します…」
話の話題である舞が職員室に入って来たのだ。