第4章 恋に落ちる音がした
宇髄side
ある日の部活動での事。
俺はその日、舞にペンキをぶち撒けて派手に機嫌を損ねてしまった。
んまあ、舞の"音"を聞くに、そんな怒ってるわけでもないんだけどな……
「なあ、悪かったって。」
俺が着替えとして持ってきていたTシャツを着て髪を乾かす舞を後ろから眺める。
まあ、当然俺のサイズが舞に合うことはないから胸元が大きく開いてるし、パンツも見えるか見えないかのラインを彷徨ってる……。
要するにド派手にエロい恰好って事だ。
「…だから、怒ってないですってば」
その言葉とは裏腹に、舞の声色は確かの不満の色をみせていた。
相変わらずムスッとした調子で髪を乾かすに舞を見兼ねた俺は、彼女の手を止めるべく彼女の手を自身の掌で包んだ。
「え?先生?」
その途端、舞から聞こえる脈が速くなった。
俺を意識してるのか…。
「ちょ、離してください」
「ヤだね」
前髪と後れ毛の隙間から見える耳は真っ赤で、瞳は僅かに揺れていた。
その時だった。何かを思い出すように目眩がした。
そうだ、この光景はどこかで見たことがある。前世だ。
煉獄を揶揄おうとして舞を押し倒した時、コイツは恥ずかしそうに顔を赤く染めた。
それから俺はコイツに意識し始めて……。
(四人目には出来なかったんだよな……。)
"前"は煉獄が居たから