第3章 過激な部活動勧誘
華道部の部室に近づくに連れて濃くなっていく花の香り。
気分はまるで蝶にでもなったかのようだった。
___コンコン……
「部活動見学に来ました。失礼します……。」
極力目立たぬようにと開けたつもりの扉だが、既に部員達の視線は舞へと注がれていた。
「……舞?」
その中でも1人、舞へ歩み寄った部員が居た。
それは、キメツ学園三大美女の1人である栗花落カナヲだった。
____ドクン、
頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。
記憶が蘇る時にいつも頭痛を起こす舞にとって、こんな事は日常茶飯事。
このキメツ学園にいる限り一日に何度でも頭痛が起こるのだ。
「……カナヲ…?」
舞が彼女へ呼びかけると、彼女は嬉しそうに微笑んで舞の手をギュッと握った。
友との約100年振りの再開の感動を2人は分かち合い、同時に嬉しく思った。
「会えて嬉しい……それより、華道部に入部してくれるの?」
「えっ、と!一応見学に……」
舞が思い出したように間延びした調子で答えると、カナヲはそっか、と優しく返し、彼女の手を取り部室を出た。
「そう……じゃあ、一緒に校内回ろ?」
「でも部活……カナヲはいいの?」
「いいの。舞とお話もしたいから。」
ふふ、と花が咲いたように美しく微笑んだカナヲに、同性である舞でさえ思わず胸がときめいた。
(めっちゃ可愛い、絶対モテる、)
「カナヲって2年生だよね、なら敬語で話さないと……」
「敬語なんかいらない。昔みたいにして?ちゃん付けもいらないから。ね?」
「、うん」
またもやあの美しい微笑みを繰り出された舞に、もはや選択権は無かった。