第14章 About Her.
は情が深い。
非番の日には花を求めて街に出向き慰霊碑に供えている。私も正装し、勇敢だった彼らに手をあわせる習慣がついた。
決まって彼女の涙は拭われず、なだらかな曲線を描いて落ちる。泣きたくても泣けない誰かの代わりに泣くの、あのひとがそういったから、とは言って。
「会いたいなあ……っ」
時には日が暮れるまでそこにいて、私たちはもつれあうようにして立ち上がる。静かに兵舎に帰っていく。
は大切。
「おかえりなさい、ハンジさん!」
「!!ただいま。会いたかった…」
好きな人めがけて駆けてゆき、まっしろな歯をのぞかせる。そのくせ相手にふれようとする手は、おずおずとして所在なさげだ。
するとあの人の大きな手がそれを引き寄せ、からだごと覆われてしまう。
たちまち林檎色に染まるの頬。ふるえる肩。ぽろぽろと透明を生むきれいな瞳。そして花が咲くように、心底健やかなはにかみを見せるのだ。
「すごく、淋しかったです……!!」
______私はそんな彼女を とても美しいと、思う。