第12章 R18 ユリイカ【同棲現パロ】
_________…
「‥…」
「……ん…?」
あのあとまた眠ってしまったみたいだった。
目を覚ましたときには、落ちかけたゆるい陽の光が寝室を満たしていた。
「うなされてたよ」
「…いつもの、」
「…そう」
目を見られないまま呟くと、ハンジはベッドに腰かけ、の背中をぽんぽんと叩く。
「林檎をむいたんだ、食べよう。朝から何にもお腹に入れてないでしょ」
だから悪夢なんて見たのかも、とよくわからないことを言いながら、ハンジはサイドテーブルに乗ったお皿を引きよせ、フォークを口元に持ってきてくれた。
ぼんやりと跡をたどる。
ほんとうは気づいていた。
悪夢じゃない。あれは私の、
「おいしい?」
うん、と頷くのに精一杯だった。
あれは夢なんかじゃない。いつかどこかにいた自分たちだ。
ハンジをのこして死んでしまった。海を見、人を殺し、同期を弔い、最期はあっけなく鉛に貫かれた。
顛末を知る勇気はない。
過去になにを思ったところで、どうすることもできないのだから。大切な人たちの終わり方なんて、知りたくないのだ。
は思う。それでいい、と。
今がこんなに幸せだ。心に一切の隙間もないくらい、ハンジの存在はにとって大きかった。
「夜はどっか食べに行く?それとも何か頼もうか」
「ううん、私が作るよ。ハンジは座ってて。…あ、まって着替えなきゃ」
「え、私も手伝う!」
ハンジのシャツをずぼっと被せられ、結局二人でキッチンに向かった。