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あかいいと。【ハンジ・ゾエ/進撃の巨人】

第9章 あなたとりんね 【転生現パロ】


まるで何かに怯えているような不安定な表情。
こんな顔もするんだ、とぼんやりと思った。

ハンジさんの背中からまだ高い太陽が覗いている。



「それは、夢で…変な夢を見たんです。
たくさんの人がいて、緑色のマントを……。機械で飛んで、人、類の、てき」



脈絡のない言葉がつらつらと出てくる。
夢?これは……。



「っ!」

「ひゃ!?」



唐突にハンジさんの体温が全身に伝わった。
これこそ脈絡がない。何?どういうこと?
私はどんな感情を抱けばいいのかわからず、鉄の棒で串刺しにされたように動けなかった。



「思い出したんだね!よかった、嬉しいよ…本当に……っ!」

「ハンジさん!?あの」

「…会いたかった」



ハンジさんの匂いが、温もりが、私を溶かす。
でも相変わらず状況は見えない。



「ハンジさん!まってください、よくわからない…!
私の夢は本当にあったことなんですか?あの怪物は、肉を削ぐ生々しい感触は、ほんとに」



鮮やかな血飛沫と乱舞する刃物が、脳内で錯綜し、今にも私を壊してしまいそうだ。
 


「そんなの、信じられるわけないじゃないですか……」



思わず彼女の胸に力を込めた。
すると二人の体の隙間に風が流れ、酷く狼狽えた彼女が見えた。



「…っ」

「……あの…?」

「ああ…なんでもない。びっくりしたよね、ごめん」

「いえ…。でも、少し整理させてください。」



だからどうして、そんな顔で私を見るの。
わからないことだらけで頭が混乱している。
ハンジさんもそれを悟ったのだろう、それ以上記憶について言及することはなかった。


『思い出した』ってなんだろう。
あれはどう考えても現代の様子じゃない。……例えるなら戦時中、とか。


得体のしれない人格が私に宿っている気がして、恐ろしいような、不思議と懐かしいような感覚に陥った。


ハンジさんに包まれた時の焼けるようなひりつきが、燻って離れない。
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