第9章 あなたとりんね 【転生現パロ】
____________________…
「やー、美味しかったね!はどう?」
「はい、とっても」
「よかった!また連れてくるよ」
私たちはハンジさんの選んだお店でパスタを食べた。
きっと私のためにたくさん調べてくれたのだろう。
デザートのメニューが豊富で、とか、これが人気みたいだよ、とか、私の緊張をやさしく解いてくれた。
私はなぜかハンジさんといると安心して、昨日、変な出会いをしたばかりとは思えないほど楽しんでしまったのだ。
……でも。
明朗に話し、料理にぱくつく彼女に、どうしても切り出せなかった。
顔が見られない。
微かな夢の残滓が、私の均衡を崩す。
「……大丈夫?」
ハンジさんが歩みを止めた。
いけない。このままじゃ何も解決しない。
「ごめん、やっぱりつまらないかな?昨日は本当に」
「ちっ違うんです!楽しいです。でも……あの」
「ん?」
ハンジさんが心配そうに顔を覗き込む。眼鏡の奥の瞳が私をとらえている。
ドッ、と汗が噴き出した。
血液が顔に集中する。どうして…。
うるさく鳴る心臓に気づかないふりをして、遠慮がちに私は尋ねた。
「おかしいと思うんですけど……。
私とハンジさん、知らない世界で一緒にいたことがありますか?」
こわごわ顔を上げると、何とも言えない表情のハンジさんがいた。
それは期待、歓喜、それとも困惑と侮蔑?
…突然何を言ってしまったんだろう。
私は急に恥ずかしくなって、撤回の言葉を紡ぐ。
「ごめんなさい!意味不明ですよねこんなの、忘れてください」
しかしハンジさんは、ちょっといいかいと私を誘導し、狭い路地裏で向き直る。
「えっと……どうしてそう思ったの?」