第8章 Milky Way 【七夕/分隊長×調査兵】
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早朝の清らかな空気。
兵服に身を包む少女のマフラーと、隣を歩く少年の髪がたなびく。
訓練兵に代々受け継がれている近道を通っていると、一本の木と揺れる紫色が目に入った。
「なんだあれ…紙?」
その言葉にはっとした様子の少女は、ずいっと彼を遮り駆けだした。
残された方も思わず後を追う。
「もしかして」
白い指が慎重に二枚の紙をつまんだ。
「『生涯、共に』…。やっぱりこれ、さんと……」
「おい、何だよそれ?俺にも見せ」
言いかけた少年の手を引いて少女はジャケットを翻す。
「なんでもない。早くしないと訓練に遅れてしまう」
「……お前、俺に隠しごとすんなよな。顔が緩んでるぞ」
「え?」
勢いよく彼を見れば、聡明たる黒い瞳と、意志の強そうな金色がかち合った。
大切なマフラーをぎゅっと握りしめて呟く。
「…うん。とてもいいことを見つけた」