第8章 Milky Way 【七夕/分隊長×調査兵】
私は微笑む。
無尽蔵にあふれる愛しさがそのまま、彼女を包んでしまえばいいと思いながら。
「絶対に貴女を守るって誓う。
私も大切な人の居場所でありたい。そのためには貴女がいてくれないとだめなんだ」
桃色の唇を噛み、せせらぐように息をして、恋人は耳を澄ませている。
「……、最期まで私と添い遂げてほしい」
「そんな、こと」
明瞭な星々の瞬きが、輪郭に沿って流れ落ちる雫をきらきら照らす。
今この瞬間世界に二人きり、迷子になったように思えた。
自ら望んだ勇敢な、でも一人だと寂しくて動けない迷子たち。
月並みで陳腐だろうか。
でも、本当にそうならいいと思うんだよ、。
「ごめん、泣かせるつもりはなかったんだけど」
「わっ、やだ、見ないでください…」
彼女は両手で顔を覆い、顔を背けた。
「綺麗だよ。こっち向いて」
頑なな手をゆっくりほどく。
泣き濡れた頬にキスを落とすと、私まで感極まってしまいそうだった。
夏の夜に、涼やかな風が吹き抜ける。
何もかも忘れてどこかに隠居するのはどうだろう。
ばかに多い書類や、惨たらしい血の記憶なんて捨て去って、私たちだけの人生を創って。
なんてね。
「愛してる、」
「私もです。ハンジさん」