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あかいいと。【ハンジ・ゾエ/進撃の巨人】

第6章 熱帯魚たち 【現パロ】


「あー限界!溶けそうだ!
ねえ、アイスでも買いに行かない?」

「アイス…!名案ですね!」



突如舞い降りた三文字に私たちは胸を躍らせる。
今食べずしていつ食べる。あの冷たくて甘い味は、こんな日のためにつくられたというのに。


さっきまでの微睡みが嘘みたいにてきぱきと準備をし、家を飛び出した。



「うっはあ、外もあっちー!」

「でも今から天使を食べると思うと全然平気です!」

「酔ってる?貴女がそんなにはしゃいでいるところ久しぶりに見たよ」



浮かれまくる私をハンジさんがからかう。
仕方ないじゃないか。夏って意味もなく昂るものでしょう。
好きな人が隣にいるとなればなおさらだ。


私はハンジさんの腕にしがみつき、時折二人で別々の歌を歌いながら歩いた。


しかしふとあることを思い返す。



「あ、そういえば鍵ってかけましたっけ?」



いつもの音が聞こえなかったような。
足を止めたハンジさんは口元に手を当て、弾かれたように口を開いた。



「…やば、忘れたかも!ちょっと待ってて」



アイスに浮かれすぎた、と踵を返す。
なんだか子どもみたいだ。
貴方も私も。


どことなく軽やかな恋人の後ろ姿を見ていると、夏も悪くないかな、なんて思えてしまうから不思議だ。
単純で明快で開けっぴろげな私たち。
ぴったりの季節を楽しもう。



「ハンジさん、私も戻る!」



なんで!?と可笑しそうに振り向かれた。
貴方と少しでもいたいからなんて言えない。けど。



「だって手を繋ぎたくなっちゃったんです!」



待ってくれていたハンジさんに追いつくとどちらからともなく指を絡め、来た道を歩きだす。
なんのアイスにしようかなあとか考える、他愛もない日常が続くことを願って。
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