第5章 バスルーム・ラブ 【分隊長×ハンジ班夢主】
恍惚としてお互いに触れ合っていると、どこからか足音が届いた。
ハンジさんは一瞬そちらを見るが、構わず舌を侵入させる。
「ふぁ…っ ん」
「は、…」
あと少しだけ…。
キスのたびに触れる髪がくすぐったい。
若干の酸欠状態で身を委ねていると、扉越しに声が響いた。
「分隊長!会議が残っています!
もいるならそろそろ上がってよー!」
慌てて顔を離す。
ニファの声だ。
大方、モブリットさんが寄越したのだろう。
「やっべ、忘れてた」
「私もまだやることが…!」
ハンジさんは名残惜しそうに私の頬を包むと、そのまま最後の口づけを落とした。
「続きはお預けだね」
「つ、つづき?」
「もちろん。
さ、あと少し頑張ろうか」
今行く!と、何事もなかったかのように返事をする彼女。
なんだか余裕そうで、少し悔しい。
手早く服を着て私にジャケットを羽織らせると、優しく指が絡んだ。
「ハンジさんっ」
「いいだろ?恋人同士なんだから」
そう言ってにっこり笑う。
きちんとした役職のある彼女のことだ。
誰かに見られたらまずいかもとか、噂されたらどうしようとか、そういう思いが今ので帳消しになってしまった。
「行こう、」
どこまでも私を導く貴方。
私は死ねない。この日をずっと思い出すために。
私たちは満ち足りて、束ねない髪を靡かせながら走っていた。