第5章 バスルーム・ラブ 【分隊長×ハンジ班夢主】
「う゛~…あと少しだ…」
決して広くはない部屋に、ハンジさんの唸り声。
「これが終わったらお茶にしよう…」
「馬鹿言わないでください。まずは睡眠に決まってます」
第四分隊が一堂に会し、黙々と書類をさばいていく。
それ自体はさして珍しくもない。
が、小さくも一つの組織を取り仕切る彼女の負担はきっと計り知れないだろう。
もう何日も寝ていないはず。
進捗はどうだろうか。
むりやりにでも仮眠を取らせるべき?
私は隣でペンを走らせる手元を覗き込んだ。
「…あ」
『片割れのビーンは夜更かしが好さ』。
ぐらぐらと不規則に揺れる頭を見つめる。
…寝ぼけていますね、ハンジさん。
私はため息をつき苦笑う。
「分隊長、『好き』です」
「へ…?」
時が止まったような静寂。
ハンジさんもほかの班員も、ぽかんと私を見ている。
私、なにか変なこと…。
鈍る頭で考えた末、ぶわっと頬が染まっていくのがわかる。
言った。それはもうはっきりと。
「、急に何よ!?」
「ぶははは!!告白にしちゃ雰囲気ないな!」
最初に吹き出したのはニファ。
ケイジとアーベルも、机に突っ伏し肩を震わせている。
「こら、そんなに笑ったら悪いだろう…」
そう言うモブリット副長も口元の緩みを隠せていなかった。
「ちが…っ違います!ほらここ!誤字!」
ああ、今すぐ消えたい…。
両手で顔を覆う。そんなにからかわなくてもいいじゃないか。
「あっははは!私もだーいすきだよ、!」
「分隊長…いやみんな、笑いすぎです…」
がばっと飛びついてきたハンジさんを受け止める。
ちょっと痛い。でも、そんなことより…。